ゲームではなく「遊び方」をデザインする。ニンテンドーミュージアム >
- 7月23日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
— 入館した瞬間から「遊び」は始まる —
京都・宇治市にあるニンテンドーミュージアム。

入館受付で受け取るのは、入館証と10枚分のデジタルコイン。
コインは一人10枚。
館内の体験型コンテンツには、それぞれ必要なコイン数が決められている。
つまり、すべてを体験することはできない。
「どれを選ぶか。」
「どれを諦めるか。」
展示を見る前から、来館者自身が"ゲーム"を始めている。
これはUXデザインとして非常に興味深い。
選択肢を制限することで、一つひとつの体験に価値が生まれる。
もし無制限だったなら、「全部やって終わり」で終わってしまうかもしれない。
限られた10コインだからこそ、「次はこれを体験したい」という余韻が残る。


— 入館証は、ただのチケットではない —
入館証は、館内で何度も使う。
アトラクションの利用、体験履歴の記録など、一日を通して行動を支える存在になる。
一般的なチケットは入館すると役目を終える。
しかしニンテンドーミュージアムでは、入館証そのものが「遊びの道具」に変わる。
展示を見る前から、「触って使う」体験が始まっている。


— 展示されているのは、ゲームではなく記憶 —
ゲーム&ウオッチ。
ファミリーコンピュータ。
ゲームボーイ。
Nintendo 64。
展示されている商品は、どれも知っているはずなのに、見ているのは商品ではない。
「あの頃」の自分である。
ゲームを買った日。
夢中で遊んだ休日。
友人と攻略法を話し合った時間。
製品は変わらない。




— デザインは「懐かしい」を設計できるのか —
デザインは、形や色を美しく整えることではない。
人の感情をどう動かすかを設計することである。
ここでは、展示の順番、照明、音、体験コーナー、そして10コインというルールまで、
一連の流れが「懐かしい」という感情を自然に引き出すよう設計されている。
展示を見終えたときに残るのは、
「また遊びたい。」「あの頃を思い出した。」
そんな感情である。

— 食べることまで「遊び」になるデザイン —
館内を歩き回った後は、ハンバーガーレストラン「はてなバーガー」へ。


ここでもNintendoらしい発想が随所に散りばめられていた。
パティやバンズ、具材、ソースなどを自由に組み合わせ、自分だけのハンバーガーを作ることができる。
料理を注文するというより、一つのゲームを組み立てるような感覚に近い。
決められたメニューを選ぶのではなく、「自分で考えて作る」。
そのプロセスが、Nintendoが長年提案してきた「遊び」の考え方と重なって見えた。
ゲームではプレイヤーが選択し、その結果が体験になる。
ハンバーガーも同じように、選択した組み合わせが、自分だけの一つの体験になるようデザインされている。
— "遊び方"をデザインしてきた企業 —
Nintendoは、ただ単にゲーム機を売ってきた企業ではない。
そして、ここニンテンドーミュージアムも同じだった。
展示を見ることが目的ではなく、来館者自身が思い出を取り出し、
新たな体験を重ねるプロセスまでがデザインされている。
良いデザインとは、情報を伝えることではない。
人の感情を動かし、記憶に残る体験を設計すること。
ここでは、その考え方を最も体感できる場所だった。
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