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見えないものを、デザインする >

9月5日
読了時間: 2分

瀬戸内市立美術館で開催されている「小松宏誠展 光と影のモビール 海がのぼる空がふる」へ。


青空が広がる山あいの街並みと遠くに見える海
青空の下に見える瀬戸内市立美術館と瀬戸内市立図書館の看板

今回の展示で主役となっているのは、モビール。


風、光、影、雨、海。

普段そこにあっても、形として捉えることのできないものが、作品を通して見えるようになっていた。


見えないものをデザインする、葉が重なる白いオブジェ
光を反射する円形パーツが吊るされたモビールのアート作品

ー 風は、見ることができない。 ー

風そのものを見ることはできない。

しかし、木の葉が揺れると、「風が吹いている」と分かる。

軽やかな羽根がわずかな空気の流れを受け、ゆっくりと動く。


その動きを見ていると、それまで意識していなかった空気の存在が突然見えてくる。


デザインの視点から見ると、ここがとても面白い。

形をつくっているようで、実は形のないものを見せている。



ー 400個以上の動きが「雨」になる。 ー

印象的だった作品のひとつが「雨のうた」。



400個以上のモーターによって、小さな動きが次々と生まれていく。


一つだけを見れば、単純な動き。

しかし、それが何百個も集まると、まったく違うものに見えてくる。


天井から吊るされた様々な青色のガラス玉のアート作品

水面に落ちた雨。広がっていく波紋。

不規則に続いていく自然現象。

実際に水があるわけでも、雨が降っているわけでもない。


頭の中では「雨」や「波紋」という風景が生まれる。



ー 「海」を作らず、海を感じさせる。 ー


そして圧倒されるのが、大規模インスタレーション「海のモビール」。

一つひとつを見ると、抽象的な造形。


見えないものをデザインする、空中を泳ぐ無数の魚のアート

魚をリアルに再現しているわけではない。

海の映像を映しているわけでもない。


それなのに、空間全体を見ると、

海の中から魚の群れを見上げているようにも感じる。


ここには、デザインの大きなヒントがある。


海を表現するために、青くする必要はない。

魚を描く必要もない。波を作る必要もない。


「海らしいもの」を足していくのではなく、「海を感じる要素」だけを抽出する。


それだけで、人間の想像力が残りを補ってくれる。



ー すべてを作らないから、想像が始まる。 ー

デザインでは、つい「分かりやすく伝えよう」として情報を足してしまう。


海なら青。雨なら水滴。空なら雲。

しかし、これららの作品は直接的な表現をできるだけ使わず、

揺れ。反射。影。リズム。空気。

といった要素だけを残している。


だから見る人は、

「鳥みたい。」「魚の群れみたい。」「雨みたい。」

と、自分の経験を使って作品を完成させる。


想像する余白が残されている。


これも、人を作品の前に留まらせる理由なのかもしれない。


そんな感覚をデザインする方法を体験できる展覧会だった。

 
 
 

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